Ping値とは?|回線速度との違い
インターネットの速度を表す単位の一つに「Ping値」があります。しかし「Ping値が何を表しているかわからない」という方は多いと思います。
簡単に説明すると、Ping値とは「回線の応答速度を表す数値」です。特定のサイトにアクセスしてから、サイトの読み込みが開始されるまでにかかる時間を数値化したものになります。なお、Ping値が低いほど反応速度が速いことを表しています。
ネット速度を表す言葉として、他には「上り速度」や「下り速度」もあります。しかし、これらの速度とPing値は異なるものです。上り速度は「データをアップロードする速度」で、下り速度は「データを端末にダウンロードする速度」を表しています。
下表にそれぞれの違いをまとめたので、ぜひ参考にしてください。
数値 | 単位 | 意味 |
---|---|---|
Ping値 | ms | 回線の応答速度 |
回線速度 (上り速度/下り速度) |
bps | データをアップロード / データの読み込み速度 |
Ping値が高いとどうなる?
Ping値が高いと、さまざまな悪影響があります。Ping値があまりにも高いと通信速度が遅くなり、動画の再生やウェブサイトの閲覧に時間がかかるようになります。
他には、オンラインゲームでラグが起きてしまうこともあります。通話では、音声が相手側に遅れて届くことも考えられます。
回線速度は十分出ているのに、ネットの調子が悪いと感じる際はPing値も確認してみましょう。
Ping値の必要速度の目安
ネットを快適に利用できるかどうかは、ネットの利用目的に左右されます。なぜなら、利用目的により必要速度が異なるためです。一般的にはPing値が「50ms」を超えると、どの用途でも速度が不安定になり利便性が損なわれます。
ここからは、Ping値の必要速度を状況別に詳しく見ていきましょう。
用途別の場合
用途により目安となるPing値は異なります。下表に一般的な用途ごとの必要速度をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
用途 | 必要速度 |
---|---|
オンラインゲーム | 20ms |
動画や音楽の再生 | 30ms |
ウェブサイトやSNSの閲覧 | 50ms |
つまりPing値が50ms以下であれば、多くの用途においてストレスを感じる可能性は低いです。
オンライゲームの場合
オンラインゲームを快適に楽しむには、Ping値が「20ms以下」であることが望ましいです。とは言っても、ゲームの内容により目安となるPing値は異なります。
例えば、リアルタイムで動き続ける格闘ゲームやFPSなどは、Ping値が高いと頻繁にラグが発生してしまいます。一方で、将棋ゲームやオセロなど動きが少なめのゲームはPing値が高くても問題ありません。
各ゲームを快適にプレイできるPing値の目安を下表にまとめましたので、参考にしてください。
対象ゲーム | 推奨Ping値 |
---|---|
Battlefield/FORTNITE/Call of Duty/スマブラなど | 1~15ms |
黒い砂漠/モンスターハンター/ラグナロクオンラインなど | 30~50ms |
麻雀/将棋/ポーカー/オセロなど | 50~100ms |
Ping値の測定方法
Ping値はサイトやアプリで簡単に測定できます。Ping値の平均値を知りたい場合は、時間帯や使用するサイトを毎回同じにして測定してください。なぜなら、同じ環境や同じツールで測定した方が正確な値がわかるためです。
ここからは、おすすめの測定サイトとアプリを見ていきましょう。
SPEED TEST
「SPEEDTEST」は簡単にPing値を測定できるサイトです。パソコンはもちろん、スマホからでも測定できます。測定項目は「Ping値(ms)」と「通信速度(Mbps)」の2つです。
SPEEDTESTはネット専門用語がわからなくても簡単に利用できるため、大まかな測定値を知りたい方におすすめです。
Speed check
「Speed check」もPing値を測定できるアプリです。先述のSPEEDTESTのアプリ版で、簡単な操作でPing値を測れます。
Speed checkを利用するメリットとして、過去のレポートを見れたり測定結果を画像として保存でき、テスト結果を共有できることが挙げられます。
定期的に測定結果を比較して、改善策を探したいという方にもおすすめのツールです。
Ping値が高いときの改善方法
Ping値が高いときの改善方法は主に5つあります。「回線速度は出ているのにネット速度が遅い」と感じたときに試してみると改善する可能性があります。
ここからは、それぞれの対処法を詳しく見てきましょう。
有線接続を利用する
Ping値が高いときは有線接続を利用するのが有効です。WiFiなどの無線接続は、家電製品の電波干渉などで通信が不安定になりPing値が変動しやすくなります。
一方で、有線接続は通信が不安定にならないため、WiFi接続よりもPing値が安定しやすいです。
固定回線を利用する
Ping値が高いときは、固定回線を利用する方法もあります。「ポケットWiFi」を代表とした無線接続の場合、気候の変化などで電波の状態が変わりやすいです。そのため、Ping値が安定しない傾向にあります。
一方で光回線などの固定回線の場合はケーブルから回線が供給されるため、気候による通信環境の変化がありません。そのため、Ping値が安定しやすくなります。
高性能なWiFiルーターに変更する
Ping値が高いときは、高性能なWiFiルーターに変更するのも一つの方法です。Ping値は、WiFiルーターのスペックによっても左右されます。
Ping値を安定させるためには、WiFiルーターのLANポートが「Giga対応」である必要があります。加えて、無線LAN規格が「IEEE802.11ac」以上である必要もあります。
これらの条件を満たすルーターには、例えばエレコム制の「WRH-733GWH」があります。
LANケーブルを変更する
Ping値が高いときは、LANケーブルを変更も有効であることがあります。WiFiルーター同様、LANケーブルのスペックでも通信速度は左右されるためです。
LANケーブルの規格が古いと、Ping値が高くなってしまう恐れがあります。Ping値を安定させるには、対応規格が「CAT6」以上のLANケーブルを使うのが理想です。
ケーブルの規格はコードに記載されているので、一度確認し古い場合は変更を検討してみてください。
IPv6プラス(IPv6)で接続する
Ping値が高いときは「IPv6プラス」で接続する対策方法もあります。利用しているネット機器に問題がない場合でも、プロバイダが原因でPing値が高くなることも考えられます。
IPv6プラスとは新しい接続方式で、従来の接続方式と比較して混雑しにくい「IPoE方式」通信ができます。
契約しているプロバイダでIPv6プラスが提供されているか、また適用されているかを確認してみてください。
Ping値に関するよくある質問
Ping値とJitterは違う?
ネット速度に関連した言葉に「Jitter」があります。Ping値とJitterが表している内容は異なります。
Jitter値とは「Ping値のブレ加減を評価する数値」です。ブレ加減とは「たくさんの処理が重なったときにどれだけ応答速度が下がるかを表す値」になります。
Jitter値もPing値と同様、低いほど良く、大まかな目安として30ms以下が望ましいです。
回線速度は速いのにPing値が高いのはどうして?
利用状況によっては「回線速度は速いのにPing値が高い」ということが発生します。この状態には送受信するデータ量が関係しています。
回線速度とPing値の関係を「バスの速度と目的地まで行って帰ってくるのにかかる時間」に例えてみていきましょう。
大量のバスが同時に移動する場面をイメージしてください。この場合は道路が混雑しやすいため、必然的にバス1台の速度が落ちてしまいます。これは「送受信するデータが多いために回線速度が落ちてしまう」状態と同じです。
逆に道路にバスが1台しかない場合、混雑時よりもバスの速度は上がります。これは「送受信するデータが少ないと回線速度が上がる」状態に近いです。
Ping値とは「バス1台の移動にかかる時間」のようなもので、最終的な速度はデータ量に比例します。
そのため、高速回線を契約していても、ネット上の混雑次第で通信に時間がかかります。しかしPing値が低ければ、高いときと比較して通信速度が速くなります。